【自己紹介】HEC Paris 合格体験記

2023年5月10日

基本情報

1 略歴

  • 概要:30代/男性/既婚/2児の父。
  • 北海道生まれ、北海道育ち、旧帝大卒、旧帝大法科大学院中退。
  • 旧司法試験合格後、東京修習。
  • 2013年12月に弁護士登録し、都内の企業法務・倒産事業再生系の事務所でアソシエイト弁護士として6年勤務した後、2020年1月にパートナー弁護士に昇格。
  • 趣味:子供と遊ぶこと。

2 MBA受験生として

  • 2021年1月、HEC Paris MBA課程に入学(2022年卒業)。
  • 留学形態:私費/コロナのため2022年7月までは単身で渡仏、以降は家族と合流。
  • 海外経験:旅行程度(いわゆる純ドメ)。
  • 他出願校:なし(HEC Paris単願。理由はおって)。
  • TOEFLiBT:100/120(R30,L29,S20,W21)。
  • GREスコア:317(Verbal155, Quantitative162,AW4.0)。
  • GPA:学部3.29、大学院3.0(中退)。
  • キャンパスビジット:なし。

なぜMBAなのか?(WHY MBA?)

 司法試験に合格した頃から、周囲の先生方の影響を受け、引き続き大学で学びたい、可能であればいずれ留学したいという思いがありました。修習に行く前に非常に良くして頂いていた弁護士の大先輩からも、日本国内だけでなく、世界を見て、広い視野で活躍できる弁護士になりなさいと言われたこともあって、弁護士になってからもいつか海外留学をしたいと考えていました。

 そして、2017年に長男が生まれたとき、留学に行くなら子供が大きくなる前のタイミングしかないと思い、留学したいということをボス弁(事務所の代表弁護士のこと)に伝えました。

 弁護士の留学先といえば、昔から、体感的に約97%はLLM(アメリカのロースクール。Master of Laws)が占めるように思います。今でこそ、留学先としてLLMではなくMBAを選択する弁護士が若干増えたように感じますが、それでもせいぜい5%程度ではないでしょうか。ただ、そのような状況下で、私は主に次の理由から、LLMではなくMBA留学をすることにしました。

理由①(弁護士としての差別化)

 司法制度改革による弁護士数の急増と、それに伴う弁護士業務のコモディティ化が進む中で、優秀な弁護士 たちとの差別化を図るためには、どこかで別の選択をすることが戦略的に必要と考えたこと(その一方で、自分自身の経験及び情報収集の不足から、LLM留学をした先のビジョンが自分にはクリアに見えなかったこと。)。

理由②(企業法務弁護士として)

 企業法務弁護士としては、MBAでビジネスを学ぶことで、法律の枠にとどまらないビジネス全体を踏まえたより正確な案件の理解、助言が可能となり、自身の業務の幅と質を格段に向上させ、クライアントと同じ目線でニーズに適切に応じたサービスを提供することができると考えたこと。

理由③(倒産再生弁護士として)

 倒産再生弁護士としては、MBAでビジネスを学ぶことで、破産会社の海外資産換価や事業譲渡等といった破産管財人としての業務の円滑化はもちろん、経済的に窮地にある債務者について、民事再生の代理人としてあるいいはそれ以前の段階から、事業を深く理解した上で早期に適切かつ具体的な助言を行うことが可能となり、より事業再生の面で価値を提供できると考えたこと。

理由④(パートナー弁護士として)

 パートナー弁護士としては、MBAでビジネスを学ぶことで、法律事務所のより最適なマネジメントと自分に見合ったマーケティング施策が可能となり、顧客への良質なサービスの提供、顧客の信頼獲得及び維持、及びスタッフへのより働きやすい職場環境の提供に資すると考えたこと。

 要するに、自分にとっては、海外で法律の勉強をするよりも、ビジネスの勉強をした方が、企業法務弁護士、倒産再生弁護士としての自分の成長と活躍の場、あるいはパートナー弁護士としての法律事務所のマネジメントという点において、メリットがあると考えたから、ということになります。

なぜHEC Parisなのか?(WHY HEC Paris?)

 MBA留学といっても、選択肢としてはアメリカ、欧州、アジアが候補としてあり得ましたが、私は次の理由から、MBAを志した比較的早期の段階から、留学するならHEC Parisと考えていました。

  • 1年4か月という期間(長すぎず、短すぎない)。
  • MBAランキング上位校。
  • アメリカMBAと比較した場合のダイバーシティの高さ(多様な見方、価値観が学べる)。
  • アメリカMBAと比較した場合の相対的な学費の安さ。
  • フランスであること(妻の姉が住んでおり、困ったらサポートを頼める)。

 そして、人生の貴重な16か月を、弁護士としてのキャリアと業務を中断し、事務所と家族に負担と迷惑をかけ、安くない費用をかけて留学する以上は、本当に自分の行きたいところに行こう、ダメならあきらめようと思って、出願はHEC Parisのみとしました。この判断に際しては、AGOS Japanの出願結果参考データの合否も参考にしました。

受験スケジュール

 私がMBA受験を決意してから合格するまでの受験スケジュール(実績)は、以下のとおりです。           

年月日                内    容
2017/4長男誕生をきっかけに、MBA受験を決意しボス弁に伝えるも、本格的な勉強は開始せず。
2018/1AGOS Japanを受講し、TOEFLのための勉強を開始。
2018/3TOEFL初受験:60/120(R14,L16,S14,W16)という悲惨な結果に。
2018/5TOEFL2回目:70/120(R21,L16,S13,W20)。
2018/8長女爆誕、勉強量が減る。
2018/9
~2019/7
この間、TOEFLを10回受けるも96/120までしか上がらず停滞する。
2019/9TOEFL13回目にして、100/120(R30,L29,S20,W21)達成。GMAT対策を本格的に開始するも、思うように進まず。
2020/5コロナでGMATの会場受験が一時的に不可となり、Online受験の評判も悪かったため、GREに切り替え。
2020/66月中にGREを2回受験し、2回目でのスコアでAdmissionからGOが出たので(Verbal155, Quantitative162,AW4.0)、エッセイ、推薦状を仕上げて8月に出願することに。
2020/8/14オンライン出願。
2020/8/28書類選考通過の連絡をメールで受ける。インタビュー対策。
2020/8/31インタビュワー2名の氏名、連絡先を受領。実施日を調整。
2020/9/8インタビュー1回目(中国人女性)。
2020/9/9インタビュー2回目(日本人男性)。
2020/9/18夜、子供をお風呂に入れている間に留守電にメッセージがあり、合格を知る。翌日、合格のメールを受領して、受験終了。

  このように、私はTOEFLのスコアメイクにかなりの月日と労力を費やしています。私がやったTOEFL対策はまた別の記事で書きます。

 その後のGMATも苦戦していましたが、コロナによるOnline受験の影響でGREに切り替えて、2か月かからず比較的あっさり結果が出ました。GMATかGREかはいろいろとご意見あるところだと思いますが、私はGREの方が圧倒的にスコアメイクしやすかったです。

利用した予備校、カウンセラーなど

 私は、TOEFL、GMAT(出願スコアはGREですが)、エッセイ、インタビュー対策のいずれも、AGOS Japanにお世話になりました。他を受けていないので比較はできませんが、スコアメイクはもちろん、エッセイ、インタビュー対策においても、豊富な経験、実績に基づいて適切なアドバイスをして頂けたと思います。

振り返って

 私は、TOEFLのスコアが出ない期間が長く、一番つらかったです。特に、リスニングが全然伸びずに、何をしてよいのか、今の勉強法があっているのか否か分からず、途方に暮れていた時期もありました。しかし、試行錯誤しながらも少しずつリスニングを伸ばすことができ、最終的にHEC Parisの求める基準点である100点をとることができました。100点をとれたことがわかり、嬉しくて速攻で妻に電話した日のことは、今でも鮮明に覚えています。

 今、受験をされていてスコアが出ないという方も、スコアメイクはやり続ければいつか結果が出るものだと思いますので、是非、あきらめずに、自分を信じて試行錯誤しながら頑張って下さい。

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Posted by のすけ