【MBA】HEC Parisの寮生活のすすめ
この記事では、HEC Parisでの寮生活について、メリット、デメリットや実際の部屋の様子をご紹介します。
ほとんどのMBA生は寮生活からスタート
HEC ParisのMBAの学生のほとんど(私の印象では約8割)が、最初は寮でMBA生活をスタートさせます。
それ以外の学生は、ほとんどがパリに住んでいますが、もともとパリで仕事をしていたとか、家族がいてパリに部屋を借りるというパターンが多いです。
Term1とTerm2が終わったタイミングで、パリやヴェルサイユに引っ越す方もいますが、MBA生活を最後まで寮で生活する学生も少なくありません。
入居に関しては、入学の1か月前にネットでの抽選が行われますが、1人部屋だとほぼ確実に入寮できたと思います。
ただし、今は学生数が増えているので、足りなくなってきているといううわさも聞きましたので、そこは在校生にご確認下さい。
逆に倍率が高いのは家族部屋で、キャンパス内にも数えるほどしかないので2LDKの広い部屋は結構競争が激しいです。
一時期、入学前からレジデンスサービスに連絡して、広めの部屋を確保しておいてもらうという方法もあると聞きましたが、今でもその方法が使えるかどうかは分からないので、これも在校生に確認してもらえればと思います。
なお、私は、留学生活後半は少し広めの1LDKの部屋で、家族4人で生活していましたが、狭いながらも何とか過度なストレスはなく生活することはできました。
寮生活のメリット
寮で生活するメリットとして、以下があると思います。
- ① ネットワーキング
- ② 家賃が安い
- ③ 通学にかかる時間がほぼない
- ④ 治安、セキュリティー面が確保されている
- ⑤ その他
以下、それぞれ少しずつコメントします。
メリット①ネットワーキング
先に述べたように、MBAの学生の約8割が寮に住むので、寮生活はネットワーキングという意味でのメリットがかなり多いです。
週末に限らず、毎日のようにパーティーが開かれていますので、ちょこちょこ顔を出していれば他のクラスのMBAの学生とも知り合うことができ、自然と友人の輪が広がっていきます。
クラスでの集まりや、寮のフロアでのイベントなどもキャンパスの寮で行われることがあり、このようなイベントに時間を気にすることなく参加でき、親交を深めることができるのは寮生活の最大のメリットだと思います。
また寮に住むことでMBA以外の方とも面識ができ、私は近くの部屋に住んでいたグランゼコールの学生とも仲良くなり、顔を合わせるたびに雑談をする仲になっていました。
メリット②家賃が安い
次に、家賃に関しては、外で部屋を借りるよりも寮の方が格段に安いです。
一人部屋の場合、寮だと月の家賃が600ユーロ前後で住むことができますが、パリだとクオリティにもよるでしょうが、きれいなところに住もうとすると少なくとも1000ユーロほどはかかると思います。
家族で住む場合も、月額家賃が寮だと800ユーロ前後、高くても1000ユーロほどだったと思いますが、パリだと1800ユーロから2000ユーロほどは必要になってくる印象です。
また寮の家賃には水光熱費も含まれているので、その点でも寮の方が大幅に生活コストを抑えることができます。
メリット③通学にかかる時間がほぼない
通学の時間に関しても、寮生活のアドバンテージは大きいです。
パリからHECのキャンパスへは、公共交通機関だと1時間ほどかかりますし、車でも通勤時間帯で渋滞に巻き込まれるとかなりの時間がかかるそうです。
HECの授業は朝の8時からと比較的早いのですが、パリに住んでいる方は授業に間に合わせるために早起きして6時台に家を出なければならないと言っていました。
またフランスの公共交通機関は頻繁に遅延やキャンセルがあるので、その意味で通学も容易ではなく、人によってはそれが若干ストレスに感じるかもしれません。
逆に、寮はキャンパス内にありますので、授業のある建物まで歩いて5分ほどで、通学にかかる時間はほぼなく、授業の開始時間ぎりぎりまで寝ていることも可能です。
またパリ住まいの方が、授業の合間に図書館や食堂等で時間をつぶす必要があるのに対し、寮に住んでいれば、授業の合間に部屋に戻って次の授業の予習をしたり、昼寝をしたり、キャンパス内をランニングしたりすることもできるので、かなり便利です。
メリット④治安、セキュリティー面が確保されている
寮生活は、セキュリティー面でもメリットがあると思います。
HECのキャンパスは、24時間体制でセキュリティーの方がいて、学生証がないと中に入れないので、基本的に変な人はキャンパス内に入れません。
他方で、パリは思っていたよりも治安が悪く、スリも多いので、特に夜間は女性は気を付けた方が良いと思うような雰囲気の場所も少なくなかったです。
その意味で、セキュリティーに関しても、外で部屋を借りて住むより寮で生活した方が安全だと思います。
メリット⑤その他
その他のメリットとして、キャンパス内の寮に住むことでジムや体育館などの運動施設が使いやすかったり、キャンパス内でランニングすることもできますし、家族帯同の場合は他の家族と知り合い交流することができるなどのメリットがあると思います。
図書館も24時間空いてますが、夜間や早朝に図書館を使えるのも寮生活のメリットといえるでしょう。
また、これはパリ生活のデメリットというべきかもしれませんが、フランスでは賃貸物件の入居の際の競争率が高く、また入居までに用意して提出すべき書類もかなり多いようですが、寮に住む場合には簡単に手続をすることができます。
さらに、フランスの建物は水が止まったりお湯が出ないということが頻発し、これは寮に住んでいても避けられない問題なのですが、寮に住んでいればレジデンスサービスが英語で対応してくれるので、毎回フランス語を駆使して状況を説明したり改善を求める必要がないというところもメリットかもしれません。
また、これは人によって違うかもしれませんが、田舎者の私からすると、HECのキャンパスのような自然の中で勉強ができるのはとても気持ちがよく、精神衛生上も快適でした。
寮生活のデメリット
逆に、寮生活にも思いつくところでは次のようなデメリットがあります。
- ① 騒音問題
- ② パリに行くのに時間がかかる
- ③ その他
デメリット①騒音問題
日本人の学生にとって最大のデメリット(というかリスク)は、騒音問題だと思います。
寮の部屋の入口のドアはそれほど作りがしっかりしているわけではないので、廊下で誰かが話していると結構聞こえてきたりもします。
また先程述べたように、キャンパス内では毎日のようにパーティーが開かれており、特に木曜夜や週末は大規模なパーティーが開催されることがあります。
パーティーに参加する場合はそれでいいのですが、参加しない場合には、深夜まで大音量の音楽や雄叫びが聞こえてくるので、かなりストレスに感じることがあります。
そういう場合には、直接言いに行くだけでなく、セキュリティーに頼んで注意してもらう方法もあるのですが、深夜に騒音で目を覚ましてそれらのアクションを取らなければならないこと自体がストレスです。
これは建物や部屋によるところが大きく、静かなところはほとんど騒音問題はないようなので、入居する建物と部屋による運の要素がかなり大きいのかもしれませんが、耳栓など、あったら便利かもしれません。
なお、私が後半に住んでいた部屋は、隣のグランゼコールの学生が友人を呼んで音楽をかけてパーティーをして歌声が聞こえてくるということがたまにありましたが、毎回夜中の0時になるとピタッと止めてくれるので、文句を言うほどではなく、逆にフランスエリート層の規律の良さに感心していました。
デメリット②パリに行くのに時間がかかる
これは通学時間がかからないというメリットの裏返しですが、寮に住んでいるとパリに遊びに出るのは若干時間がかかります。
SAVACという貸し切りバスの時間に合えば、それにのって無料で1本でパリに行くことができるのでよいのですが、公共交通機関を使う場合には基本的にジュイの駅まで徒歩かバスで行ってからC線を使うか、バスでChaville-VelizyやChaville-Rive-Droiteまで行ってからC線に載る必要があり、乗り換えも必要なのでアクセスがかなりいいわけではありませんし、フランスの公共交通機関は頻繁に遅延やキャンセルが生じるので、大変なこともあります。
寮の家賃が安い分、Uberを使ってパリまで行ってしまってもいいのですが、Uberは雨の日だとHECとパリ間の片道運賃が100ユーロを超える場合もあるので、要注意です(Boltでもよいかもしれませんが)。
デメリット③その他
その他のデメリットとしては、コンロが2口の電気コンロで火力の調整が難しいので、料理が好きな方には少し厳しい環境かもしれません。
また寮の部屋はどれも浴槽はなく、我が家では小さなケースを浴槽代わりにして子供を入れたりしていましたが、大人はシャワーが基本になります。
さらに、寮生活だと洗濯にはコインランドリーを使用することになりますが、ランドリーの使用時間が限られているので(確か6時から10時30分。間違っていたらどなたか教えてください。)、深夜や早朝に洗濯ができないというデメリットがあります。
またランドリーに洗濯物をもっていっても全ての洗濯機が使用中で使えないということもありましたが、今はアプリで使用状況が分かるので、その点は解決されていると思います。
寮の内装
最後に、私が前半で住んでいた部屋の内装を紹介します。
私は、MBA生活の最後まで寮で生活していましたが、前半は1人でJビルの1LDKの部屋(おそらく2人用)に住んで、後半はそれよりもさらに広めのDビルの1LDKの部屋に住んでいました。
夏休みの間に、家族が合流するから広めの部屋が空いたら教えてほしいとレジデンスサービスに伝えていて、9月頭頃に連絡があってすぐにキャンパス内で引っ越しをしました。
5階(フランスでいう4階)から2階(フランスでいう1階)になったので景色はかなり悪くなってしまいましたが、騒音問題がほぼ解決され、部屋も広くなったのでよかったです。
以下の写真は、私が1人の時に住んでいたJビルの部屋の写真です。
寮は複数の棟がありますが、ほとんど(すべて?)が日本でいう5階建てで、居住スペースがあるのは2階から5階部分です。
1階部分は、棟によってレジデンスサービスが入っていたり、ランドリーがあったり、キッズルームがあったりしますが、1階部分がランドリーの棟の方は洗濯にすぐ行けるのでうらやましかったです。
キッチンのコンロの下に備え付けの冷蔵庫がありますが、あまりキャパが大きくないので、家族ずれの方や冷蔵庫に食材をストックしておきたい方は、冷蔵庫を誰かに譲ってもらうと便利になると思います。
なお、不用品の買い取りのやり取りをするWhatsAppのグループがあるので、中古品にあまり抵抗がない方は、入寮されるタイミングで在校生にリンクを教えてもらい、参加すると良いと思います。
私が最初に住んでいたのはJビルの最上階の1LDKの部屋でしたが、おそらく2人用の部屋のため、勉強机と棚が2つあり、私はL字型につなげて使っていました。
卓上スタンドは備え付けられていないので、部屋で勉強をする方はIKEAかどこかで買うか、他の学生に譲ってもらった方がいいと思います。
窓は大きく、部屋から見える景色は四季を感じられてとても良かったです。
この部屋のベッドは2段ベッドで、備え付けの寝具は写真にある毛布とカバーのない枕だけでした。冬は寒く、暖房の効きが弱い部屋だと身体に影響が出るリスクがあるので、1月入学の方はすぐにAuchanかIKEAで寝具を揃えたほうがいいです。洗面台は、2人用の部屋のためか2つ横並びであり、鏡も大きかったです。
まとめ
以上が、寮生活のご紹介でした。
HEC ParisのMBAに行かれる方は、単身の方はもちろん、家族帯同の方も部屋の空きがありましたら、是非、寮に住んでみてください。