【MBA】フランス留学中のフランス語学習の必要性

この記事では、フランスのHEC Paris MBA課程に留学していた私が、フランス語学習の必要性と、HEC Parisでのフランス語の授業について、ご紹介したいと思います。

フランス語学習の必要性

HEC Parisは、フランスにあるビジネススクールですが、授業は基本的に英語で行われるため、英語ができればフランス語が全くできなくても入学はすることができます

もっとも、卒業時に3か国語を使える人材を育成するという観点から、HEC ParisのMBA過程では、第二外国語のB1レベルの証明が卒業要件とされています。

この卒業要件としての第二外国語は、一応はフランス語ではなくても良く、カナダ人の友人は中国語で卒業要件をクリアしようとしていましたが(彼は既にフランス語を使えるということもありますが)、フランス留学である以上、多くの学生が留学中にフランス語を学び、要件を満たしている印象です。

なお、日本人の場合は日本語、英語、フラ語で3か国語という扱いになりますが、アメリカ人などの英語ネイティブたちは、英語、フラ語にさらにもう1言語学んでB1レベルの証明をする必要があるので大変そうでした。

ということで、卒業要件を満たすために、おそらくほとんどの学生がフランス語をB1レベルまで学習をすることになり、フランス語学習はそのために必要といえます

この卒業要件の満たし方ですが、大きく次の4つがあります。

  • ① DELFなどのフランス語テストでB1レベルに合格する
  • ② フランス語の授業とは別にHECが行うフランス語テストに合格する
  • ③ BusuuなどのアプリでB1レベルの成績証明書を取得する
  • ④ 大学時に第二外国語をB1レベルまで履修していた場合はその成績証明書を提出する

難易度は①から④につれて簡単になっていくと思いますが、注意すべきはHECで開講されるフランス語の授業を履修してB1レベルのクラスを終えても、それだけでは卒業要件を満たしたことにならないということです。

別にHECが行うフランス語のテストに合格したり、アプリでB1レベルの証明を行ったりする必要があります。

どの方法によって卒業要件を満たすかは、それぞれのフランス語に対するモチベーションやキャリアにもよると思いますが、個人的なおすすめは、③BusuuなどのアプリでB1レベルの成績証明書を取得する、です。

私の具体的なフランス語の学習法については、別記事で述べたいと思います。

日常生活でフランス語は必要か

日常生活に関していえば、授業を含めたキャンパス内の公用語は英語となっている印象で、友人とのやり取りも英語が基本ですし、お店でもパリなどの観光地の店員さんや若い店員さんなどは英語を話せるので、英語で足りる部分が大きいです。

買い物やレストランで品物やメニューが分かるという意味で、フランス語ができると日常生活がかなり楽になりますが、手間を惜しまないのであれば都度Google翻訳やDeepLで翻訳しながら過ごすことも可能だと思います。

たまに、役所などのスタッフに英語でやり取りしたいと思ってフランス語で「英語を話せますか?」と聞くと、「Non‼」と冷たくあしらわれることがありますが、それでもめげずに英語で話し続けていると、しぶしぶ英語でやり取りしてくれるということが何度もありました。

したがって、英語だけでもおそらく最低限の日常生活を送ることはできます

もっとも、下手でもフランス語で話しかけたほうが、かえって親切にしてくれたり、嫌な感じではなくフランス語の発音を直してくれたりするので、フランス語が少しはできたほうが日常生活の楽しみが増えることは確実です

他に明確にやりたいこと等があるなど、それぞれの留学の目的にもよりますが、せっかくフランスに留学する以上は、フランス語を学んでみると良いと思います。

HECでのフランス語の授業について

HEC ParisのMBA課程では、レベルごとにフランス語の授業も開講されますので、フランス語はその授業を取ることでも学習できます。

フランス語を含む語学クラスは、Termごとに通常授業と並行して行われ、1コマ90分の授業を週に2回、月曜日と水曜日の夕方に開講されます。

授業の時間は、①16時20分から17時50分、②18時00分から19時30分、③19時40分から21時00分までの枠でした。

私が入学した当初は、コロナ禍で完全オンラインの授業でしたが、2021年9月からは対面での授業が再開しました。

授業の最後にはテストがあり、合格すると次のレベルに進ませてもらえますが、レベルの刻み方はA1.1、A1.2、A2.1、A2.2、B1.1…と細かいです。

そのため、完全初心者がA1.1から順に各Termフラ語授業を取り続けたとしても、Term4が終わる時点ではA2.2の修了レベルなので、まだB1レベルには達していません。

また先に述べたように、フランス語の授業でB1レベルに達したとしても卒業要件を満たすことにはなりません。

なので、フランス語の授業の履修は必ずしも必要というものではないと思いますし、私もTerm1とTerm2まで受けてその後は時間の関係で独学に切り替えてしまいました。

もっとも、HECに留学されるのでしたら、少なくとも前半は、次の理由からフランス語の授業を履修することをおすすめします。

  • ① フランス語クラスを通じて友人ができる
  • ② 強制的にフランス語を学習する時間ができる
  • ③ 発音とリスニングの学習ができる
  • ④ 追加コストがかからない

まず、①フランス語クラスを通じて友人ができるという点ですが、単純に接点が多くなるので、仲が良くなることに加え、お互い未知のフランス語という難題に対して協力して攻略していくという側面もあり、私はフランス語クラスを通じて多くの友人を作ることができました

クラスで出される課題や問題に対して、これがどういう意味かなどを一緒に考えていくことも、MBAの通常の授業とは違った楽しみがありました。

私は完全初心者クラスのA1.1から履修しましたが、アルファべの読みから始まり、Aのつく単語をあげたり自己紹介をしたり、とても簡単なところからのスタートだったので、MBAの他の授業の息抜きにもなっていました。

また、②強制的にフランス語を学習する時間ができるという点については、独学の方が時間の融通は効きますが、特にTerm1、Term2はMBA全体を通じて比較的忙しい期間なので、かえってフランス語の学習を後回しにしがちです。

なので、フランス語クラスを履修して毎回必ず宿題をやっていく習慣をつけておけば、毎週フランス語に一定程度触れることになるので、フランス語の学習が停滞するという事態を避けられます。

さらに、③発音とリスニングの学習ができるという点についても、独学では難しい、フランス語クラスの履修のメリットだと思います。

加えて、④追加コストがかからないという点ですが、フランス語の授業料は学費に織り込み済みなので、別途金額を支払う必要はなく、フランス語を学ぶことができるという意味です。どうせ同じお金を払うなら、最大限に活用した方がいいと思います。

なお、学生のパートナーもフランス語クラスの履修が認められていますので、パートナーにフランス語学習の意欲があれば、一緒にフランス語を履修するのも楽しいと思います。

まとめ

以上のとおり、HEC ParisのMBA課程では、B1レベルの第二外国語の証明書の提出が卒業要件とされていますので、卒業するためにもフランス語の学習は必要です

また日常生活においても、フランス語が話せなくてもおそらく生きていくことはできますが、フランス語が話せた方がフランス留学をより楽しむことができ、留学自体をより面白いものにすることができると思います。

HECで行われるフランス語の授業についても、卒業要件との関係で履修が必須ではありませんが、友人を作ったり、強制的にフランス語を学ぶ時間を確保する等の理由から、特にTerm1とTerm2ではフランス語の授業を履修した方が良いのではないでしょうか。

これらが、HEC Parisでのフランス語学習の必要性と、HEC Parisでのフランス語の授業の簡単なご紹介でした。

次回は、留学前と留学中の私のフランス語の学習法について、どうやって卒業要件であるB1レベルに達したかを含め、ご紹介したいと思います。