【MBA】The Executive Committee on Campus (TEC)について

2022年10月2日

HECでのMBA留学の中で、私が一番記憶に残っているプログラム、とってよかったと思うプログラムは、The Executive Committee on Campus (通称:TEC)です。

TECについては、HECの日本人在校生ブログや、HECの留学同期の日本人のブログにも記載がありますが、HECのMBAに行くのでしたら、TECにはぜひ応募して下さい。

今回は、その理由として、私のTECでの経験について、ご紹介したいと思います。

TECとは

TECは、HECが力を入れているリーダーシッププログラムの一つです。

ただ、通常の授業と異なり、参加が必須ではなく、逆にMBA生の全員が参加できるわけではありません。

入学前に、TECのプログラムについて説明するのウェビナーが行われるのですが、そのウェビナーを踏まえて、TECへの参加を希望する場合には、課題として指定された複数の問いに対するエッセイを入学前に提出する必要があります。

正直、TECについては学校のHPでもあまり詳しい解説はされておらず、内容に関しての守秘義務もあるので、このウェビナー以外には、詳しく知る機会もあまりないと思います。

選考は提出したエッセイをもとに行われ、12人×2グループの合計24人が選ばれて、TECに参加することができます(選考過程の詳細は知りませんが、おそらくメンターが自分でエッセイを読んで候補者を選び、候補者が重複する場合は話し合いでどちらのチームに所属させるか決めています)。

選考倍率は、私たちの時は3倍ほどだったと聞いています。

エッセイの内容は、出願時のエッセイをそのまま使えるものもありますが、それ以外にも、その人のこれまでの経験や価値観、考え方を問うものもあり、ボリュームも少なくはなく、また正解がないような質問なので、私も頭を悩ませて、入学直前までじっくりと時間をかけて書きあげ提出しました。

12人のグループは、Term1とTerm2が行われる6か月間にわたって、メンターの指導の下で、プログラムを受講していくことになります。

TECの内容

TECは、3つの内容から構成されます。

1つは、メンターとの1対1のセッションです。

グループによって若干やり方が違うようですが、基本的に6か月間にわたって、メンターと1対1で様々なことを議論します。

その時の悩みや、将来のことの他、メンターが経営コンサルをしていたので、自身の卒業後のビジネスのことを相談するメンバーもいました(私も弁護士としてのキャリアについて議論しました)。

もう1つは、グループディスカッションです。

グループディスカッションは、それぞれが毎月、メンターから与えられたテーマについて、自身の考えをまとめ、他のメンバーに対してプレゼンします。

プレゼンの時間は10分ほどですが、HECのMBAでは一人でプレゼンする機会はさほど多くないので、私にとってはプレゼンの良い練習の場となりました。

それぞれの価値観や人間性、プライベートな領域などに関する込み入ったテーマも扱うため、内容はConfidentialとされ、TECのメンバー以外に話すことはできません。

また、それぞれの考えについて、他のメンバーからフィードバックがあったり、その場で議論に発展することもあり、異なる価値観やバックグラウンドからの指摘は、自分の気が付いていない新たな視点や気づきを得ることができる良い機会にもなります。

3つ目は、ゲストスピーカーとのセッションです。

ゲストスピーカーとのセッションは、グループディスカッションが行われる日(金曜か土曜日)の午前中に行われ、まずゲストスピーカーとの1対1の対話の後、グループ向けにそのゲストスピーカーが伝えたいことをプレゼンしてもらい、議論します。

ゲストスピーカーは企業経営者や著名人で、メンターとはまた異なる視点を有していることもあり、経営に関する多様な考え方やそれぞれの個人としての人生観などを知ることができました。

私にとってのTEC

冒頭でも述べた通り、私は、このTECで学べたことが、私のMBAでの一番の収穫だと思っています。

留学前に考えていた、私のMBA留学の目的は、①ビジネス知識の習得、②ネットワーキング、③自分の価値観の見直し、④語学力の向上です。

まず、TECプログラムは、ディスカッションやプレゼンを通じて、④語学力の向上に役に立ちました。

また、12人のメンバーが議論やプレゼンを通じてお互いを理解することになりますので、メンバー間はとても仲が良く、②ネットワーキングとしても濃い経験をすることができました。

しかし、なんといっても私のTECの最大の学びは、③自分の価値観の見直しという点にありました。

グループディスカッションでの他のメンバーからのフィードバックは、私がそれまで当たり前だと思っていたことが、実はそうではないことを気が付かせてくれたり、また私自身の弱みやその具体的な克服の仕方について、とても的確で納得いく指摘をもらうことができました。

これは、プレゼンやグループディスカッションを通じて、それぞれが根本的な価値観のレベルでお互いをよく理解し、尊重しあっていたからこそ、実現できたものだったと思います。

私の場合には、留学期間中、TECに参加していないとのメンバーで、ここまで突っ込んだ議論をする機会はありませんでしたし、そのような機会自体、普通にMBA生活を送るうえでは、なかなかないのではないかと思います。

このように、私はTECの他のメンバーからも、自身の価値観という点において、貴重な学びを得ることができました。

また、私にとって、TECでの最大の学びの場は、私のメンターだったBernardとの1対1のセッションでした。

Bernardは、語弊をおそれずにいえばおじいちゃんのような存在で、時に厳しいこともいうのですが、はじめから最後まで、私の話をよく聞き、私のことをよく理解してくれようとしていました。

今でいう心理的安全性が十分に確保された状態で、Bernardと私の根本的な価値観、人生観、将来設計等について、とても深いレベルで議論することができました。

このような議論を通じて、Bernardが思う私の考え方や価値観の誤り、今後のアドバイスをもらうことで、これまで自分の人生の中で培ってきた既存の価値観を、ずっと俯瞰的なレベルで見直すことができたように思います。

何より、私はこのBernardとの1対1のセッションが非常に楽しく感じ、毎回とても楽しみでした。

初回こそ、Bernardの設定したテーマについて議論しましたが(それもそれで楽しかったのですが)、2回目以降は、私の方で勝手にBernardと議論したいテーマを設定しましたが、Bernardも受け入れてくれました。

議論したテーマは、家族、人生設計、ミッション、夢、リーダーシップ、弁護士としてのキャリア、未来などで、多岐にわたりますが、それぞれお互いの根本的な価値観から、どうあるべきか、何が大切か、どう行動すべきか等、哲学的な観点も含めて深く議論をさせてもらいました。

私は英語力に自信がなかったので、議論に際しては、考えていることをうまく伝える目的と効率化のため、毎回、事前にテーマに関する私の考えや価値観、議論したいことを、レジュメにまとめて持っていくようにしていました。

その際、テーマに関しては十分に時間をかけ、これなら反論されまいと思うレベルで自分の中で推敲を重ねていくのですが、それでもBernardからは毎回、新しい視点や考え方などを教えられ、議論が尽きませんでした。

今になって思えば、あのBernardとの時間は忘れられないとても贅沢で貴重な経験でした。

我ながら大げさな言い方だと思いますが、おそらく将来、自分が留学していた期間を振り返っても、Bernardとの1対1のセッションの時間は、MBA留学での一番の思い出として、あるいは人生観を変えた経験として、心に残り続けるように思います

まとめ

このように、TECは、私のHECの留学生活の中で、最も良い経験ができたプログラムでした。

メンターによってはやり方やスタンスも多少は異なるようですし、人によってもそれぞれ感じ方や受け止め方が異なるので、誰にとっても最も良いプログラムではないかもしれませんし、私がたまたま私のメンターとウマが合っただけなのかもしれません。

しかし、もしHECに留学される方で、私と同じようにMBA留学の目的の一つとして、自身の価値観の見直しを望むのでしたら、TECプログラムに是非応募してみてください。

エッセイを書きあげるのは大変ですが、それに見合った、それ以上の、貴重な友人や師を得ることができると思います。

また、価値観とか云々ではなく、面白そうだからという軽い気持ちで参加してみても良いと思いますので、是非検討してみてください。

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Posted by のすけ