【MBA】HEC MBAのTerm2の授業について(前半)
Term2について
Term1の後、Outdoor Leadership Seminarと短い春休みを経て、Fundamental Phaseの後半となるTerm2がスタートしました。
Term2は、Term1と同様に、150名が3つのクラスに分けられ、さらに5、6名のグループに割り当てられますが、クラス替えがあるのでまた新しい環境での勉強になります。
Term1と比較すると、Term2はグループワークの割合が多く、ほぼ毎週、グループで集まったりオンラインで話したりしていました。
また、ただでさえ内容が盛りだくさんなことに加え、さらにコロナの関係でTermの期間が若干短くされたこともあり、MBA全体の中で一番忙しい時期となりました。
私のグループは、インド人、イタリア人、メキシコ人、韓国人、コートジボワール人、日本人の6名でした。
インド人とコートジボワール人とはTerm1から同じクラスでお互い知っており、特にインド人とはTECプログラムでよく話す仲だったので、安心しました。
Term2の授業は以下のとおりで、期間中はMBATやJapan Weekも開催されました。
- Corporate Finance
- Ethics & Sustainability
- Macro-Economics for Business
- Management Accounting & Control
- Operations Management
- Organizational Behavior
- Strategic Management
- Sigma Challenge
この期間(4月~6月)は、フランスの気候的にもとても快適で、キャンパス内では新緑が美しく、過ごしやすい季節でした。
Corporate Finance
Corporate Financeは、ケース中心の授業で、定性的なビジネス分析、Target Capital Structure、Project評価(PBP、IRR、NPV)、企業評価(P/E、EV/EBITDA、DCF)、PE投資、IPOなどを学びました。
毎回の授業ごとにグループでの課題があって大変でしたが、やればやるだけ理解が深まる内容で、難易度としても、私のようなFinanceバックグランド以外の学生でも頑張ればついていける内容で、やりがいがありました。
授業の中では、ファイナンスの観点から、新株発行や自己株式取得など、個人的に企業法務で業務として扱うことのある話題も出てきて、今までやってきたことがリーガルではなくファイナンスの観点から学ぶことができ、個人的にも面白かったです。
余談ですが、日本では自己株式の取得について、会社法461条1項の財源規制がありますので、債務超過になるようなレベルまで自己株式の取得を進めることはできません。
これに対し、他の国ではこのような規制がない国もあって、例えばアメリカでは結果的に債務超過になるような自己株式の取得も認められています。
実際、ケンタッキー・フライド・チキンの運営会社や、マクドナルド、スターバックスといった優良企業も、株式還元としての自己株式の取得を続けた結果、バランスシート上は債務超過に陥っています。
私は、自己株式の取得に関するケースの中で、いやいやそんなに自己株式取得したら債務超過になるから、そこまでの株主還元は無理だろうと言っていたのですが、上記のとおり財源規制の在り方が国によって違うので、少し恥ずかしい思いをしました。
また、ケースはどれも教授が実際に取材をして書き下ろしたもので、PRADAなどの著名企業の歴史や事業内容の教授なりの分析を聞くことができたり、SPAC(特別買収目的会社)での上場など比較的新しい話題もちゃんと授業の中に含まれていました。
実際、MBAの終了間際に同級生たちとどの授業が一番良かったかという話をしたのですが、その際、Corporate Financeという生徒がとても多く、大人気の授業でした。
Ethics & Sustainability
Ethics & Sustainabilityでは、倫理的な思想・理論、それに基づく個人あるいは企業経営者としての意思決定方法、SCRの意味、ステークホルダーとの関係、貧困問題、金融市場における投資会社の責任などを学びました。
企業不祥事のケースとして、ワールドコム事件について扱ったのですが、事件発生に至るまでの背景や登場人物の心理、ジレンマなどを詳細に知ることができたのに加えて、個人や組織として取るべき行動、防止策などについての議論により、企業法務のコーポレートガバナンスの領域にも役立つ内容で、とても良い勉強になりました。
また後半の授業では、HECが力を入れている分野の一つであるSustainabilityに関するトピックの紹介、議論も行われ、今まであまり考えてこなかっけど重量な領域について、思考を深めることができました。
私たちのクラスでは、授業は全てオンラインになってしまいましたが、特に倫理に対する考え方に関しては、地理的あるいは業界的なバックグラウンドによる個人差が多く、ダイバーシティを感じることも多かったです。
Macro-Economics for Business
Macro-Economics for Businessは、その名のとおりマクロ経済学の授業で、GDP、インフレ、ビジネスサイクル、経済成長、金融政策、貨幣などを学びました。
授業の中では、コロナによる経済への影響とについても学ぶことができました。
授業の中で、チームごとに1つ国を選んでプレゼンをする課題が与えられ、特定の国の経済について理解を深めることができます。
他のグループはアルゼンチン、ブラジル、トルコ、中国などを選び、自分たちのグループはインドを選びましたが、この課題を通じて、世界各国の経済情勢や、抱える課題、その背景を詳しく知ることができ、とても良い勉強になりましたし、日本経済について考え直す機会になりました。
Management Accounting & Control
Management Accounting & Controlは、通称MACと呼ばれる授業で、コスト管理、予算管理、財務パフォーマンス測定、業績評価制度等について、ケースも使いながら学びました。
管理会計の知識はもともとある程度持っていたつもりですが、それをどのように実務に落としこんでいくのかという点を通じて、さらに理解を深めることができました。
個人的には、この授業で学んだことを、どうやって弁護士としてのビジネスに落とし込めるのかを考えることで、これまでの自分の仕事のやり方、改善点などを見直す良い機会となりました。
(後半へ続く)