【MBA】HEC Paris Term3の授業について:Advanced Management Specialization

2022年10月2日

Château de Versaillesにて

Advanced Management Specializationの概要

Term3は、7つの専攻科目から1つを選んで重点的に学ぶSpecializationの期間でした。

私は、HEC Parisが強みとするMarketingや、経営戦略について理解を深めるAdvanced Strategy、今後のビジネス領域で欠かすことのできないDigital Innovationの選択も考えましたが、最終的には自身の専門分野(企業法務・倒産事業再生)との親和性、法律事務所のマネジメントの観点、少人数制というクラス規模、マネジメント分野の興味関心、独学の困難性を考慮して、Advanced Managementを選択することにしました。

私が受講した際のAdvanced Managementは、結果的に7つのSpecializationの中で最少となる計14名の超少人数クラス(うち2名はオンライン参加)となり、グループ課題では毎回異なるメンバーと取り組むことにもなり、皆と仲良くなることができました。

Advanced Management Specializationの履修科目は以下の7科目です。それぞれ簡単に解説していきます。

1)Advanced Management(Core)

2)People and Business Performance

3)Global Supply Chains

4)Geopolitical shifts and Global Consequences

5)Globalization and Corporate Social Action

6)Fundamentals of Negotiations

7)Designing and Leading Entrepreneurial Organization

Advanced Management

Advanced Managementは、このSpecializationのコアとなる授業ですが、ケーススタディなどを交え、個人、集団、組織単位でのマネジメントや、企業文化、キャリア形成などのマネジメント手法を学びました。

Termの途中ではヴェルサイユ宮殿でPowerについて学ぶという贅沢な体験があり、ガイドがついて半日かけてヴェルサイユ宮殿の庭園や建築の歴史や意図等についても学ぶことができました。ヴェルサイユが近いHEC Parisならではの授業だと思います。

また、中間レポートに対しては、キャリアカウンセラーでもある教授から各自に対する詳細なフィードバックもあり、特に本質を突く的確な内容で、自分の弱みと今後の改善点を実感しました。クラスメイトたちは皆、教授からのフィードバックが的確であったと言っていましたが、これも少人数であり教授と生徒たちの距離感が近かったからだと思います。

People and Business Performance

People and Business Performanceは、個人やチームのPerformanceをいかにして高めるかという点を中心とした授業で、組織のPurpose、個人やチームのPerformanceを上げるための支援方法、企業文化の変革など学びました。

教授は映画業界出身で、授業内容にも映画関連のものが含まれていて面白く、特にStorytellingの分析、実践方法、演習は、説得的で非常に勉強になりましたし、ストーリーテリングのスキルは自分がリーダーシップをとるべき局面において今後必要で伸ばしていくべき重要なスキルの一つだと感じました。

最終課題は2人ずつペアになってPerformanceに関する10分のビデオを作成するというもので、私はチリ人の友人とペアになりJALの会社更生を取り上げました。その中で取り上げたSushiの動画が、違う方向でクラスメイト達にうけ、後日、皆でパリにSushiを食べに行くという謎イベントが発生しました。

Global Supply Chains

Global Supply Chains は、Term2で受講したOperations Managementの続編的な授業で、流通ネットワーク、オムニチャネル、調達、マスカスタマイゼーション、生産拠点、リスクマネジメントなどを通じて、サプライチェーンのマネジメントを学びました。

ウォルマートとカルフールの流通戦略の違いや、ベネトンのオペレーションにおける工夫など、様々な企業の工夫やアプローチ手法を知ることができ、純粋に面白かったです。

また途中で需要を予測して工場、倉庫の設立やマネジメントを行うチーム対抗のシミュレーションゲームがありました。私たちのチームは、序盤はぶっちぎりの1位でしたが、最後の最後に他のチームに追い抜かれて2位でフィニッシュと悔しい思いをしました。

しかし、その後、優勝したチームと話をしている中で、サプライチェーンマネジメントの経験を持つクラスメイトから需要予測のコツやノウハウを教えてもらえ、とても良い勉強になりました。

Geopolitical shifts and Global Consequences

Geopolitical shifts and Global Consequencesは、いわゆる地政学の授業でした。

地政学の基本的な概念を学んでから、各論的にロシア、北極圏、トルコ、中東(サウジアラビア)、中国の地政学を学びましたが、冒頭で教授が地政学はゲーム・オブ・スローンズのようなものと例えを用いて説明をしていたことが印象的でした(ゲーム・オブ・スローンズをちゃんと見てはいませんが)。

最後は各自が国を選び、それぞれ地政学の切り口で10分間のプレゼンを行いましたが、地政学という切り口で多くの国の歴史や政治を学ぶことができてよかったです。

Globalization and Corporate Social Action

Globalization and Corporate Social Action は、CSR(Corporate Social Responsibility)の実践として、企業が社会的利益や社会問題のためにどう行動すべきかを考える授業でした。

Merckをはじめとする製薬会社の課題や、インパクト投資、ソーシャルインパクトボンドの実例、選定基準などを学びました。

企業として、CSRを実践していく具体的な方法について、理想論だけでなく企業の責任やCSAの限界も議論され、理解が抽象的だった分野について、理解を深めることができました。

Fundamentals of Negotiations

Fundamentals of Negotiationsは、演習を通じて交渉術を学ぶ授業でした。

私は弁護士としての実務経験から、自分の交渉スタイルはある程度確立できたと思っていたが、最新の研究や細かなTipsなどの紹介もあり、まだまだ自分の交渉スタイルについて改善の必要性があり、勉強を続けていかなければならないと実感しました。

また演習では1対1の交渉がメインですが、終盤には3者での交渉や、複数の利害関係者での複雑な交渉もあり、自分の立場を伝え、有利なポジションを確保するためのそれぞれの交渉スタイルをみることもでき、勉強になりました。

この授業は3日間の短期集中型でしたが、Electiveでも短期で受講できるおすすめの授業です。

Designing and Leading Entrepreneurial Organization

Designing and Leading Entrepreneurial Organizationは、企業の創業期から成長段階に合わせたマネジメントを、資金調達、企業文化と内部構造、リーダーシップの要素、成長戦略などの点から学ぶ授業でした。

個人的には、自分の理想とする法律事務所とそれを実現するための最適な内部構造について、休み時間に教授と議論することで整理・具体化できたことが、とても良かったです。

まとめ

以上が、Advanced Management Specializationで私が受講した授業であり、個人的にはこのSpecializationを選んでよかったと思っています。

このSpecializationで学ぶ内容は、交渉以外はビジネスですぐに役立つというものではないように思いますが、今後の社会人生活において、いずれも少しずつ確実に役に立ってくる気がしています。

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Posted by のすけ